(1)免許申請者と商号が適合していること
商号や名称は、公的機関や流通機構の名称と紛らわしくないこと、また実態に反して法人と誤認されないことが求められます。たとえば、行政機関と誤解される表示や、業界団体と紛らわしい名称は避けるべきです。

宅建業許可申請の解説
宅地建物取引業を業として行うには、原則として免許が必要です。 不動産業の現場では「宅建業の許可」と表現されることもありますが、法令上は宅地建物取引業の「免許」です。本記事では、宅建業免許とは何か、なぜ必要なのか、どのような要件・書類・費用が必要なのかを、2026年時点の情報に基づいて分かりやすく解説します。
宅地建物取引業とは、宅地または建物の売買・交換・貸借の代理・媒介を業として行うものをいいます。対象となる取引を反復継続して事業として行う場合、個人・法人を問わず免許が必要です。
なお、免許を受けずに宅建業を営んだ場合は、宅地建物取引業法に基づく罰則の対象となります。これから不動産会社を開業する方、関連事業から不動産分野へ参入する方は、早い段階で要件確認と準備を進めることが重要です。
重要:申請実務では、同じ宅建業免許でも提出先の行政庁や免許区分(知事免許・大臣免許)によって必要部数や添付資料の扱いが異なる場合があります。 必ず管轄庁の最新手引・最新様式を確認してください。
国土交通省によれば、宅地建物取引業とは、次の行為を業として行うものをいいます。ここでいう「業として」とは、反復継続して事業として行うことを意味します。
出典:国土交通省「宅地建物取引の免許について」
宅建業免許は、事務所を設置する都道府県の数によって、申請先と免許権者が変わります。
| 区分 | 事務所の設置状況 | 免許権者 | 主なケース |
| 国土交通大臣免許 | 2以上の都道府県に事務所を設置する場合 | 国土交通大臣 | 複数県展開 本店と他県支店の設置 |
| 都道府県知事免許 | 1の都道府県にのみ事務所を設置する場合 | 都道府県知事 | 単独都道府県内で営業 |
実務のポイント: 営業エリアそのものではなく、事務所をどの都道府県に設置するかで免許区分が決まります。広告や取引の対象地域が広くても、事務所が1都道府県内だけであれば知事免許となるのが基本です。
宅建業免許の有効期間は5年間です。満了後も引き続き宅建業を営む場合は、更新申請が必要になります。
更新申請は、有効期間満了日の90日前から30日前までに行う必要があります。期限を過ぎると失効リスクが生じるため、満了日を管理し、早めに準備を始めることが重要です。
宅建業免許を取得するためには、次の7つの要件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると免許取得が難しくなるため、申請前に確認しておきましょう。
商号や名称は、公的機関や流通機構の名称と紛らわしくないこと、また実態に反して法人と誤認されないことが求められます。たとえば、行政機関と誤解される表示や、業界団体と紛らわしい名称は避けるべきです。
法人で申請する場合は、定款の目的および履歴事項全部証明書の目的欄に、宅地建物取引業を営む旨の記載が必要です。記載がない場合は、定款変更や登記変更を先に行わなければ申請が進められません。
代表者や、支店長・営業所長などの政令で定められた使用人は、当該事務所に常勤している必要があります。名義だけの設置や、他社の常勤役職との兼務など、実態上常勤といえない場合は認められません。
各事務所には、業務に従事する者5人につき1人以上の割合で、常勤かつ専従の専任宅地建物取引士を置く必要があります。人数基準を満たしていても、常勤性や専従性が認められないと要件を満たしません。
宅建業の事務所は、継続的に業務を行える独立した形態を備えている必要があります。社会通念上、事務所として認識できる状態であることが求められます。
原則として、戸建住宅の一室やマンションの一室、仮設建築物、他社との共同使用は認められません。ただし、一定の条件を満たす場合は例外的に認められることがあります。
なお、レンタルオフィスについても、壁で明確に区画され、自社専用の出入口や看板設置が可能かなど、独立性・継続性が重視されます。
宅建業者は、営業保証金を供託するか、または保証協会に加入する必要があります。営業開始の直前段階で必要となるため、資金計画の中でも重要なポイントです。
代表者、役員(非常勤を含む)、政令で定められた使用人などが、法令で定める欠格要件に該当する場合は免許を受けることができません。
5年間免許を受けられない主な場合は次のとおりです。
その他の欠格事由として、次のような場合があります。
注記: 禁錮以上の刑に執行猶予が付いた場合、執行猶予期間中は欠格事由に該当しますが、執行猶予期間満了の翌日からは欠格事由に該当しません。 また、刑を受けても控訴・上告中は欠格事由に該当しないと整理されています。
2026年時点の実務では、次の2点が特に重要です。
そのため、過去の控えや旧記事を参考にする際は、最新版の様式番号・添付書類一覧を必ず照合してください。
新規申請では、申請者の属性、事務所の実態、人的要件、資本関係などを確認するために、多くの書類が必要になります。主な書類は次のとおりです。
| 書類名 | 内容・備考 |
| 免許申請書(第1号様式、第1面〜第4面) | 申請の基本書類。最新版様式を使用します。 |
| 略歴書 | 代表者、役員、政令使用人等の経歴確認に用います。 |
| 誓約書 | 欠格要件非該当等を誓約する書類です。 |
| 登記簿謄本(履歴事項全部証明書) | 法人の商号、本店、目的、役員等を確認します。 |
| 納税証明書 | 申請者の納税状況を確認するために必要です。 |
| 事務所の写真(カラー必須) | 外観、入口、内部、看板等を確認できるように整えます。 |
| 事務所の平面図 | 独立性・区画の明確性を示すために必要です。 |
| 付近の地図 | 所在地確認のために添付します。 |
| 相談役・顧問、5%以上の株主・出資者などの名簿 | 人的・資本的関係の確認に用いられます。 |
| 身分証明書(代表取締役、取締役、監査役など) | 役員等に関する確認書類です。 |
| 事務所所有者からの使用承諾書(賃借の場合) | 賃貸物件を事務所とする場合に必要となります。 |
実務のポイント: 事務所写真は、看板、入口、執務スペース、応接スペース、他区画との境界などが確認できるように準備すると、審査上の説明がしやすくなります。
更新申請では、新規申請と比較して書類構成は整理されますが、変更届との整合性や、期限管理が重要です。主な必要書類は次のとおりです。
| 書類名 | 内容・注意点 |
| 免許申請書(第1号様式) | 更新用の最新版様式で作成します。 |
| 従前の届出書の控えの写し(新規以外の場合) | 変更履歴の確認に用いられるため、控えは整理保管しておくと便利です。 |
| 住民票(マイナンバーの記載がないもの) | マイナンバーの記載がないものを用意します。 |
| 法人の履歴事項全部証明書 | 最新の登記事項が反映されたものを提出します。 |
| 役員の身分証明書・登記されていないことの証明書 | 令和6年5月以降、専任宅建士分は不要ですが、役員分等は必要となる場合があります。 |
注意: 更新時に過去の変更届が未提出だった場合、追加対応や説明資料を求められることがあります。商号変更、役員変更、事務所移転などがあった際は、その都度30日以内に変更届を行うことが重要です。
宅建業法第9条の規定に基づき、免許取得後に変更があった場合は、30日以内に変更の届出が必要です。主な対象は次のとおりです。
| 免許区分 | 新規 | 更新 |
| 知事免許 | 33,000円(都道府県手数料) | 33,000円 |
| 大臣免許 | 90,000円(登録免許税) | 33,000円(申請手数料) |
| 項目 | 営業保証金(供託) | 保証協会加入 |
| 主たる事務所(本店) | 1,000万円 | 60万円(弁済業務保証金分担金) |
| 従たる事務所(支店) | 1事務所あたり500万円 | 1事務所あたり30万円 |
※保証協会加入の場合、別途年会費が6〜12万円程度(協会ごとに異なる)かかるのが一般的です。
| 手続き | 費用の目安 | 備考 |
| 資格登録 | 37,000円前後 | 都道府県知事に登録 |
| 取引士証交付 | 4,500円 | 法定講習受講後に交付 |
| 法定講習 | 11,000〜16,000円 | 5年に1度の受講が必要 |
不動産業の開業に必要な資金は、概ね400万円程度が目安とされることがあります。もっとも、地域や事務所規模、採用状況により大きく変動します。
主な内訳は、免許申請費用、営業保証金または保証協会分担金、事務所設立費用、人件費、備品・広告費などです。特に保証金・分担金の差は大きいため、開業時の資金繰りでは保証協会加入を検討する事業者が多く見られます。
A. はい、個人でも法人でも申請可能です。ただし法人の場合は、定款の目的に「宅建業を営む旨」の記載が必要です。
A. 壁で明確に区画され、自社専用の出入口・看板設置が可能であれば認められる場合があります。独立性と継続性が重要です。
A. 知事免許で約4〜6週間、大臣免許でおおむね100日程度です。さらに、営業保証金の供託や保証協会加入の手続きに2ヶ月程度かかる場合があります。
A. 免許が失効し、営業できなくなります。失効後に再開業するには、新規申請と同等の手続きが必要となります。更新は有効期間満了の90日前から30日前までに行ってください。
A. 営業保証金1,000万円を供託する代わりに、60万円の分担金で済むため、資金負担が大幅に軽減されます。また、研修制度や消費者トラブル対応の支援など、協会の各種サービスを利用できます。
A. 事務所の移転・追加、商号変更、役員変更、事務所数の変更などがあった場合、30日以内に変更の届出が必要です。期限を過ぎた場合は、始末書の提出を求められる場合があります。